資産運用の目的と期間 使う時期に合わせたお金の分け方

資産運用では、同じお金でも「何のために使うのか」「いつ使うのか」によって、適した置き場所が変わります。半年後に使う予定のある資金と、20年後の老後資金を同じ方法で運用すると、必要な時期に価格が下がっている可能性があるためです。

当サイトでは、少なくとも半年分の生活費を現金・預貯金で確保し、そのうえで、使う時期が決まっている資金と中長期で運用する余剰資金を分けることを基本としています。この記事では、資産運用の目的と期間をどのように決め、お金の置き場所を分けるかを解説します。

資産運用では「いつ使うお金か」を先に決める

資産運用を考えるときは、金融商品を選ぶ前に、そのお金を使う時期を確認します。使う予定が近い資金ほど価格変動を避け、長期間使う予定のない資金ほど、株式や投資信託などを利用する余地があります。

使う時期 主な用途 資金の置き場所の考え方
日常的に使う 家賃、食費、水道光熱費、税金など 普通預金など、すぐに使える資金
いつ必要になるか分からない 失業、休業、病気、急な修理費など 半年分の生活費を預貯金で確保する
数年以内に使う 引っ越し、教育費、自動車、住宅購入など 価格変動を抑えた預貯金を中心に考える
10年以上先に使う 老後資金、長期的な資産形成など 余剰資金の範囲で株式や投資信託などを利用する

このように分ける理由は、投資商品の価格が必要な時期に上昇しているとは限らないためです。数年以内に使うことが決まっている資金は、予定した金額を確保できることを優先します。

一方、10年後や20年後まで使う予定のない資金であれば、途中の価格変動を受け入れながら運用する時間を確保できます。

生活費と予備資金は運用目的から外す

資産運用の目的を考える前に、日常生活に必要な資金と予備資金を取り分けます。当サイトでは、少なくとも半年分の生活費を現金・預貯金として確保することを基本としています。

毎月の生活維持費が25万円であれば、半年分は150万円です。この150万円は老後資金や投資資金とは分け、普通預金など必要なときに引き出せる形で残します。

予備資金の目安=1か月の生活維持費×6か月

ここに、今月の生活費や数年以内に予定している大きな支出も加わります。これらを差し引いた後に残る資金が、中長期の資産運用へ回せる余剰資金です。

近い将来に使うお金は預貯金で確保する

使う時期が決まっている資金は、その時期までに必要額を用意できることが重要です。住宅の頭金、大学の入学金、自動車の買い替え費用などは、支払時期を自由に延ばせない場合があります。

例えば、3年後に自動車購入のため200万円が必要な場合、その200万円を株式や投資信託で運用すると、購入時期に評価額が170万円になっている可能性もあります。必要額が決まっている資金は、普通預金や定期預金など、価格変動を避けられる方法で保有するのが基本です。

予定している支出 使用時期の例 資金の考え方
旅行 半年~2年程度 預貯金で積み立てる
引っ越し 1~3年程度 必要額を現金で確保する
自動車購入 2~5年程度 購入時期に合わせて預貯金を積み立てる
教育費 進学時期が決まっている 支払時期が近づくほど価格変動を避ける
住宅購入 数年以内 頭金や諸費用を現金で確保する

長期で使わないお金を運用資金にする

生活費、予備資金、近い将来の予定資金を取り分けた後、当面使う予定のないお金について資産運用を考えます。この資金であれば、株式や投資信託の価格が一時的に下がっても、生活費のために取り崩す必要がありません。

長期間使わない資金には、老後資金が代表的です。30代や40代から老後に備える場合、運用期間を20年以上確保できることもあります。長い期間を取れるほど、積立や分散投資を取り入れながら運用する選択肢が広がります。

運用期間が長いからといって、すべての資金を値動きの大きい商品へ回す必要はありません。どの程度の値下がりを受け入れられるか、家計にどれだけ余裕があるかも含めて資産配分を決めます。

目的ごとに必要額と時期を考える

資産運用の目的は、「将来のため」「老後のため」といった大まかな設定から、金額と時期まで具体化します。必要な金額と期間が分かると、毎月どの程度積み立てる必要があるかを計算できます。

確認する内容 具体例
何のためのお金か 老後資金、教育費、住宅資金など
いつ使うか 5年後、15年後、65歳以降など
必要額はいくらか 300万円、1,000万円など
現在いくらあるか 目的のために確保済みの資金を確認する
毎月いくら積み立てるか 家計の余剰資金から設定する

例えば、20年後に600万円を用意する場合、運用益を考えなければ年間30万円、毎月2万5,000円を積み立てる計算です。運用による収益が得られれば必要な積立額は変わりますが、将来の利回りは確定していません。

そのため、高い利回りを前提に積立額を抑えるのではなく、家計から継続して出せる金額を基準に計画を作ります。

複数の目的がある場合は資金を分けて管理する

実際の家計では、老後資金だけを準備するケースは多くありません。住宅、自動車、教育、旅行など、複数の支出が同時に存在します。

例えば、預貯金が500万円あり、次のような予定があるとします。

資金の用途 金額
半年分の予備資金 150万円
2年後の自動車購入 150万円
5年後の住宅関連資金 100万円
中長期の運用資金 100万円
合計 500万円

この場合、500万円すべてを投資するのではなく、400万円は生活や予定支出に備えて現金・預貯金で確保し、残り100万円を中長期の運用資金として考えます。

預貯金残高だけを見ると投資できる金額が多く見えますが、目的ごとに分けると、実際に余剰資金として使える範囲が分かります。

運用期間が短くなったら資産配分も見直す

10年後や20年後に使う予定だった資金も、時間が経てば使用時期が近づきます。使う直前まで株式など値動きの大きい資産を多く保有していると、必要な時期に相場が下落した場合、予定額を確保できない可能性があります。

使用時期が近づいた資金については、株式や投資信託の一部を売却し、預貯金へ移す方法があります。例えば、10年以上先の資金として運用を始め、5年後、3年後、1年後と使用時期が近づくにつれて現金の比率を増やしていく考え方です。

すべてを一度に現金化する必要はありません。支払い時期と必要額が決まっている部分から順番に確保すると、運用を続ける資金と使う資金を分けられます。

NISAで運用する場合も使う時期を基準にする

NISAは中長期の資産形成に利用できる制度ですが、NISA口座で購入した金融商品にも価格変動があります。非課税であることと、元本が保証されることは別の話です。

そのため、NISAの投資枠が残っていても、数年以内に使う予定の資金や半年分の予備資金まで投資へ回す必要はありません。NISAへ入れる金額も、生活費や予定資金を取り分けた後の余剰資金から決めます。

老後資金など長期で使う予定のないお金であれば、NISAを利用しながら積立投資を続ける方法を検討できます。

目的が変われば運用方針も変えてよい

資産運用を始めた後に、住宅購入、転職、結婚、出産などでお金の使い方が変わることもあります。以前は20年以上使わない予定だった資金が、数年後に必要になるケースもあります。

その場合は、新しい目的に合わせて資金を分け直します。例えば、5年以内に住宅を購入することになった場合は、頭金として使う予定額を運用資産から切り分け、現金・預貯金へ移していきます。

当初の運用計画を守ること自体が目的ではありません。現在の家計と今後の支出予定に合わせて、使う時期と資産の置き場所を調整します。

目的と期間を決めると投資に回せる金額が分かる

資産運用を始める際は、保有するお金を一つの資産として扱わず、使う目的と時期ごとに分けます。日常の生活費、半年分の予備資金、数年以内に使う予定資金は現金・預貯金で確保し、その後に残る余剰資金を中長期の運用へ回します。

使う時期が近い資金は価格変動を避け、10年、20年と使う予定のない資金については、株式や投資信託を利用する余地があります。目的と期間を先に決めておけば、投資できる金額と現金で残す金額を明確に分けられます。

資産運用では、どの商品を買うかを考える前に、いつ使うお金なのかを決めることが出発点です。

プロフィール
AKI

金融資産運用分野の研鑽に励んでいます。
・2級FP技能士/AFP(日本FP協会認定)
・ビジネス会計検定試験®2級

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