社会人になってから看護師を目指そうと思った場合には、「今から看護学校に入れるのか」「高校生と同じ入試を受けるのか」「仕事を辞める前に何を調べればよいのか」など、入学前の段階で考えることが多くなるかと思います。
看護学校には、社会人経験のある人を対象にした入試を設けている学校があります。名称は「社会人入試」「社会人選抜」「社会人特別選抜」など学校によって異なり、出願条件や試験内容も一律ではありません。
この記事では、社会人から看護学校を目指す方に向けて、社会人入試の仕組み、出願条件、試験内容、志望理由書や面接の準備、学費と生活費、入学前に確認しておきたいことを整理してみました。
社会人入試とは
社会人入試とは、高校卒業後に一定の社会人経験を持つ人を対象にした入試方式です。看護専門学校や看護大学の一部で実施されており、一般入試とは別に募集枠を設けている学校もあります。
社会人入試では、学力試験だけでなく、志望理由書、小論文、面接などを通して、看護師を目指す理由や、入学後に学び続ける姿勢を確認されることが多くなります。これまでの仕事や生活経験を、看護の学びにどうつなげるかが問われる入試と考えると分かりやすいかと思います。
社会人入試を行っていない看護学校もあります。その場合、社会人であっても一般入試で受験する形になりますので、気になる学校が見つかったら、募集要項で社会人向けの入試区分があるかを確認してみてください。
社会人入試の出願条件
社会人入試の出願条件は、学校ごとに異なります。共通する条件としては、高等学校卒業または同等以上の学力があること、社会人経験があること、入学時点で一定の年齢に達していることなどがあります。
社会人経験の年数は、1年以上、2年以上、3年以上など学校によって差があります。正社員としての勤務だけでなく、契約社員、派遣社員、パート、アルバイトなどを含めるかどうかも学校ごとに扱いが変わります。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 学歴 | 高等学校卒業、または高卒認定などが対象になるか |
| 社会人経験 | 必要な勤務年数、雇用形態、在職中・離職中の扱い |
| 年齢 | 年齢条件があるか、入学時点での扱いはどうなるか |
| 出願書類 | 卒業証明書、成績証明書、職歴証明書、志望理由書など |
| 併願 | 他校との併願が可能か、専願扱いか |
社会人入試では、出願書類をそろえるまでに時間がかかることがあります。高校や大学の卒業証明書、成績証明書、勤務先の在職証明書などが必要になる学校もあるため、募集要項を早めに読み、どの書類をどこから取り寄せるのか、出願期限までに間に合うのかを確認しておくとよいです。
社会人入試で看護学校に入る流れ
社会人入試を考えるときは、入試日だけを確認するのではなく、受験する学校選び、出願書類、学費、仕事の調整、入学後の生活まで続けて考えていくことになります。
| 流れ | 確認すること |
|---|---|
| 学校を探す | 通学できる範囲、社会人入試の有無、国家試験受験資格を確認する |
| 募集要項を読む | 出願条件、試験科目、必要書類、日程を確認する |
| 学費を調べる | 入学金、授業料、教材費、実習費、生活費を合わせて考える |
| 支援制度を確認する | 奨学金、修学資金、専門実践教育訓練給付金の対象講座か確認する |
| 出願準備をする | 志望理由書、小論文、面接、必要書類を準備する |
| 合格後の生活を考える | 退職時期、勤務調整、貯蓄、家族の協力を考える |
社会人から看護学校へ進む場合、合格することだけでなく、入学後に通い続けられるかも重要な判断材料になります。学校選びの段階で、学費、通学時間、実習期間、生活費を確認しておくと、入学後にどの時期の負担が大きくなるのかを想像しやすくなります。
試験内容は学校によって異なる
社会人入試の試験内容は、学校ごとに異なります。小論文と面接を中心にする学校もあれば、国語、英語、数学、生物などの学科試験を課す学校もあります。
| 試験内容 | 準備のポイント |
|---|---|
| 志望理由書 | 看護師を目指す理由、学校を選んだ理由、入学後の学び方を書く |
| 小論文 | 医療、看護、社会問題、コミュニケーションなどのテーマに備える |
| 面接 | 志望動機、社会人経験、学費や生活面の見通しを説明できるようにする |
| 学科試験 | 国語、英語、数学、生物など、学校が指定する科目を確認する |
| 適性検査 | 学校によって実施されることがある |
社会人入試だから学科対策が不要、というわけではありません。小論文と面接だけの学校もありますが、一般入試に近い学科試験を行う学校もあります。受験校を決める前に、過去の入試科目や出題傾向を確認して、どの科目に時間をかけるべきかを決められるようにしておきましょう。
志望理由書で伝えること
社会人入試では、志望理由書が重視されることがあります。看護師を目指す理由だけでなく、なぜその学校で学びたいのか、入学後にどのように学ぶつもりかまで書けると、読み手が入学後の姿を思い浮かべやすい文章になります。
家族の病気や介護、医療現場での経験、自分自身の受診経験などがきっかけになることもあります。その経験を書くこと自体は自然ですが、きっかけだけで終わらせると、看護師として何を学びたいのかが伝わりにくくなります。
志望理由書では、経験から何を考えたのか、看護師という仕事をどう理解しているのか、入学後の学習や実習にどう向き合うのかまで書くと、社会人としての視点が伝わります。
面接で聞かれやすいこと
面接では、看護師を目指す理由、社会人経験、学校生活への覚悟、学費や生活面の見通しなどを聞かれることがあります。社会人の場合、入学後に仕事や家庭との調整が必要になる人もいるため、現実的な準備ができているかも確認されやすい部分です。
- なぜ看護師を目指すのか
- なぜこの学校を選んだのか
- これまでの仕事で何を学んだのか
- 社会人経験を看護の学びにどう生かすのか
- 学費や生活費の見通しはあるか
- 実習期間の生活をどう考えているか
- 卒業後はどのような看護師を目指したいか
面接では、立派な答えを作ることより、自分の言葉で説明できることが基本になります。看護師になりたい気持ちに加えて、学習量、実習、国家試験、卒業後の働き方まで考えていることを伝えられると、入学後も学び続ける意思を説明できます。
小論文対策で意識すること
小論文では、医療、看護、福祉、高齢化、チーム医療、コミュニケーション、命に関わる仕事の責任などがテーマになることがあります。専門知識を細かく問うというより、テーマに対して筋道を立てて考え、自分の意見を文章にできるかが見られます。
準備では、医療や看護に関するニュースを読み、自分ならどう考えるかを短く書く練習を重ねるとよいです。結論、理由、具体例、まとめの流れで書く練習をしておくと、本番でも文章の順番に迷いにくくなります。
社会人入試では、これまでの仕事や生活経験をもとに考えを述べられる点が強みになります。接客、事務、営業、介護、子育て、地域活動などの経験も、人との関わりや責任感を考える材料になります。
学科試験がある場合の準備
社会人入試でも、国語、英語、数学、生物などの学科試験が課されることがあります。社会人になってから時間が経っている場合、学生時代の知識を思い出すところから始める人もいるかと思います。
学科試験がある学校を受ける場合は、受験科目を確認し、出題範囲に合う教材を使って復習します。看護学校の入試では、基礎的な読解力、計算力、英単語、理科の基本事項などが問われることがあります。
仕事を続けながら受験勉強をする場合は、長時間まとめて勉強する計画より、平日と休日に分けて続けられる形を作るほうが取り組みやすくなります。出願までの日数から逆算し、志望理由書、小論文、面接、学科試験のうち、どれをいつまでに仕上げるかを決めておくとよいです。
社会人が確認しておきたい学費と生活費
社会人から看護学校に入る場合、入学金や授業料だけでなく、在学中の生活費も大きな確認項目になります。看護学校では、授業、演習、実習、課題、試験があり、フルタイム勤務を続けながら通うにはかなりの調整が必要です。
入学後に収入が減る人は、学費だけでなく、家賃、食費、通信費、保険料、交通費、税金、年金、国民健康保険なども含めて考える必要があります。実習期間はアルバイトの時間を減らすこともあるため、入学前に生活費の見通しを立てておくと安心です。
| 費用項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 学校納付金 | 入学金、授業料、施設設備費、実習費 |
| 教材費 | 教科書、参考書、電子教材、タブレット端末など |
| 実習関連費 | 実習着、靴、ワクチン接種、保険料、実習先への交通費 |
| 生活費 | 家賃、食費、通信費、光熱費、日用品費 |
| 公的負担 | 年金、健康保険、住民税など |
| 収入の変化 | 退職、勤務時間の調整、アルバイトの可否 |
社会人の場合、入学前の貯蓄、家族の協力、奨学金、修学資金、教育訓練給付金を組み合わせて考えることになります。受験前の段階で、卒業までに必要な金額と、利用できる支援制度を書き出してみると、自分で用意する金額を把握しやすくなります。
専門実践教育訓練給付金も確認する
雇用保険の加入歴がある社会人は、志望校が専門実践教育訓練給付金の対象講座になっているか確認しておきたいです。看護師養成課程の中には、厚生労働大臣が指定する専門実践教育訓練の対象講座になっているものがあります。
対象講座で一定の条件を満たす場合、受講費用の一部が支給されます。資格取得後の就職や賃金上昇などの条件によって追加支給がある制度ですが、対象者の条件、支給額の上限、申請時期が決まっています。
専門実践教育訓練給付金を受けるには、受講開始前に手続きが必要になります。訓練前キャリアコンサルティング、ジョブ・カードの作成、ハローワークでの受給資格確認などが関係するため、入学後に調べ始めると申請時期に間に合わない可能性があります。
社会人入試を考える段階で、学校の募集要項だけでなく、ハローワークで対象講座や手続きの時期を確認しておくと、入学前に利用できる制度と自己負担額を把握できます。
仕事を辞める前に確認したいこと
社会人から看護学校を目指す場合、退職や勤務時間の調整をいつ行うかも悩みやすい部分です。合格前に退職すると収入面の不安が出ますし、合格後に急いで退職準備をすると、引き継ぎや生活準備が慌ただしくなることもあります。
在職中に受験する場合は、試験日、面接日、入学手続き、オリエンテーション、入学後の授業時間を確認します。夜間や定時制の課程であっても、実習期間は勤務調整が必要になることがあります。
勤務先に進学の意思を伝える時期は、職場との関係や雇用形態によって変わります。退職する場合も、働き方を変える場合も、入学後の時間割と実習時期を確認してから考えると、勤務先へ相談する時期や退職時期を決めやすくなります。
社会人入試で気をつけたい点
社会人入試は、社会人経験がある人にとって受験しやすい制度に見えることがあります。一方で、募集人数が少ない学校もあり、志望理由書や面接では十分な準備が求められます。
社会人経験があることだけで有利になるわけではなく、その経験を看護の学びにどうつなげるかを説明できることが重要になります。仕事で身につけた責任感、報告・連絡・相談、相手の話を聞く姿勢、チームで動いた経験などは、看護の学習にもつながる材料になります。
また、社会人入試だけに絞ると、受験できる学校が限られることがあります。志望校によっては、社会人入試と一般入試の両方を検討すると、受験できる学校や試験日程の選択肢が広がります。
学校説明会で聞いておきたいこと
社会人から受験する場合、学校説明会や個別相談で具体的に聞いておきたいことがあります。パンフレットだけでは分からない部分を確認すると、入学後の生活を想像しやすくなります。
- 社会人入試の出願条件は何か
- 社会人入学者は毎年どのくらいいるか
- 授業時間と実習期間のスケジュールはどうなっているか
- 実習先までの移動時間や交通費はどのくらいか
- 学費総額と追加費用はどのくらいか
- 専門実践教育訓練給付金の対象講座か
- 奨学金や病院修学資金の利用実績はあるか
- 社会人学生への学習相談や生活相談はあるか
- 国家試験対策はいつから始まるか
- 卒業後の就職先にはどのような傾向があるか
説明会では、良い面だけでなく、実習の負担、課題量、退学や休学時の学費、奨学金の返還条件も確認しておくと、入学後に想定外の負担を抱えにくくなります。
社会人入試の準備チェックリスト
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 学校選び | 社会人入試の有無、通学範囲、国家試験受験資格を確認する |
| 出願条件 | 学歴、職歴、年齢、必要書類を確認する |
| 試験内容 | 小論文、面接、学科試験、適性検査の有無を確認する |
| 志望理由 | 看護師を目指す理由と学校を選ぶ理由を文章にする |
| 学費 | 入学金、授業料、教材費、実習費、生活費を合算する |
| 給付金 | 専門実践教育訓練給付金の対象講座か、手続き時期を確認する |
| 仕事 | 退職、勤務調整、収入減への備えを考える |
| 生活 | 家族の協力、通学時間、実習期間の生活を考える |
社会人入試は入学後の生活まで考えて準備する
社会人入試は、社会人経験を持つ人が看護学校を目指すための選択肢の一つです。学校によって出願条件や試験内容が異なるため、募集要項を確認しながら、自分が受験できる学校を探していくことになります。
準備では、志望理由書、小論文、面接、学科試験の対策に加えて、学費、生活費、仕事の調整、実習期間の過ごし方まで考えておくことが重要になります。社会人からの進学では、合格後の生活設計も学校選びの一部になります。
看護師を目指す理由が明確になってきたら、通える範囲の学校を調べ、社会人入試の有無、受験資格、試験内容、学費、給付金、実習先を一つずつ確認してみてください。入学後の生活まで見通しながら準備することで、社会人から看護学校へ進むために、今どの情報を集めればよいのかが分かりやすくなります。
看護専門学校や看護大学の合格を目指す、オンライン専門の個別指導塾もあります。社会人と高校生が対象です。


