看護師を目指したいと思っても、進学先の選び方、入試、実習、年齢、仕事との両立など、不安に感じることはいくつもあるかと思います。その中でも、入学前に具体的に確認しておきたいのが学費です。入学金や授業料だけを見て「何とかなるかもしれない」と考えても、実際には教科書代、実習着、ワクチン接種、実習先までの交通費、生活費なども必要になります。
特に社会人から看護学校を目指す場合は、在学中に働ける時間が限られるため、学費だけでなく生活費まで含めて考える必要があります。高校生の場合も、家族にどのくらい負担がかかるのか、奨学金を借りる場合に卒業後の返済がどうなるのかを早めに確認しておきたいところです。
この記事では、看護学校にかかる主な費用、学校種別ごとの学費の考え方、奨学金制度、修学資金、社会人が使える給付制度、申し込む前に確認したい点を整理してみます。
看護学校の学費は学校によって大きく変わる
看護学校の学費は、公立か私立か、専門学校か大学かによって大きく変わります。看護専門学校の場合、公立校では3年間の学費が比較的低く抑えられている例があります。一方、私立の看護専門学校や看護大学では、入学金、授業料、施設設備費、実習費などを合わせると負担が大きくなります。
看護学校の費用を見るときは、「初年度納入金」だけで判断しないことが大切です。初年度は入学金、教科書代、実習着、タブレット端末などが重なり、2年目以降より高くなることがあります。また、学校案内に書かれている金額に、実習先までの交通費や生活費が含まれていない場合もあります。
| 学校の種類 | 修業年限の目安 | 費用の考え方 |
|---|---|---|
| 公立看護専門学校 | 3年 | 授業料は低めの傾向があるが、教科書代や実習関連費は別にかかる |
| 私立看護専門学校 | 3年 | 授業料、施設設備費、実習費などを含めた総額を確認する必要がある |
| 看護短期大学 | 3年 | 専門学校と同じく3年で看護師国家試験の受験資格を目指す |
| 看護大学 | 4年 | 在学期間が長く、学費と生活費の総額が大きくなりやすい |
看護学校でかかる費用の内訳
看護学校の費用は、授業料だけではありません。入学前後にまとまって支払うもの、毎年支払うもの、実習の時期に発生するものがあります。
| 費用項目 | 内容 |
|---|---|
| 入学金 | 入学時に一度だけ支払う費用 |
| 授業料 | 講義や演習を受けるための基本的な費用 |
| 施設設備費 | 校舎、演習室、実習設備などの維持に関わる費用 |
| 実習費 | 病院や施設での実習に関わる費用 |
| 教科書・教材費 | 専門書、電子教材、タブレット端末などの費用 |
| 実習着・靴・聴診器など | 実習で使う物品の購入費 |
| 保険料 | 実習中の事故や損害に備える保険料 |
| 健康診断・ワクチン接種 | 実習前に必要となる検査や予防接種の費用 |
| 交通費 | 通学や実習先への移動にかかる費用 |
看護学校では、実習に入る前に感染症関連の検査やワクチン接種が必要になることがあります。実習先が自宅や学校から遠い場合は、交通費や宿泊費が増えることもあります。募集要項では見えにくい費用なので、学校説明会で確認しておくと安心です。
初年度に費用が高くなりやすい理由
看護学校では、初年度にまとまった費用がかかります。入学金に加えて、教科書、実習着、靴、教材、パソコンやタブレット端末などをそろえる必要があるためです。
2年目以降は入学金がない分、初年度より下がる場合があります。ただし、実習が本格化すると、実習先までの交通費、記録に使う文具や端末、健康管理に関わる費用が増えることがあります。
そのため、学費を考えるときは「入学時にいくら必要か」「毎年いくら必要か」「実習期間に追加で何が必要か」をそれぞれ確認する必要があります。
生活費も含めて考える必要がある
看護学校の負担を考えるときは、学費だけでなく生活費も重要です。自宅から通う場合でも、交通費、昼食代、教材費、通信費などはかかります。一人暮らしをする場合は、家賃、光熱費、食費、引っ越し費用も必要です。
看護学校は授業や実習の時間が長く、実習中は記録や事前学習もあります。アルバイトの時間を十分に確保できるとは限りません。特に実習期間中は、収入を増やすよりも体調管理と学習時間の確保を優先しなければならない状況も出てきます。
社会人から進学する場合は、入学前に少なくとも数か月分の生活費を準備しておくと、実習や試験の時期にも無理をせずに過ごすことができるかと思います。
利用できる主な奨学金制度
看護学校の費用をまかなう方法には、奨学金、修学資金、給付制度、学校独自の支援制度などがあります。制度によって、返済が必要なもの、返済不要のもの、一定の勤務条件を満たすと返還が免除されるものがあります。
| 制度 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 日本学生支援機構の奨学金 | 給付型と貸与型がある | 貸与型は卒業後に返済が必要 |
| 高等教育の修学支援新制度 | 授業料・入学金の減免と給付型奨学金を組み合わせた制度 | 対象校、世帯収入、学業要件などを確認する |
| 都道府県の看護師等修学資金 | 看護職員を確保する目的で貸与される制度 | 指定施設で一定期間働くと返還免除になる場合がある |
| 病院奨学金 | 卒業後にその病院で働くことを前提に貸与されることがある | 退職や進路変更時の返還条件を確認する |
| 学校独自の奨学金 | 学校ごとに内容が異なる | 募集人数や条件が限られる場合がある |
| 専門実践教育訓練給付金 | 社会人が対象講座で学ぶ場合に使えることがある | 雇用保険の加入歴や指定講座かどうかを確認する |
日本学生支援機構の奨学金
日本学生支援機構の奨学金には、返済不要の給付奨学金と、卒業後に返済する貸与奨学金があります。貸与奨学金には、無利子の第一種奨学金と、有利子の第二種奨学金があります。
給付奨学金や授業料等減免は、世帯収入、資産、学業への意欲、進学先が対象校かどうかなどによって利用可否が変わります。看護専門学校や大学が対象になる場合もありますが、すべての学校で同じように使えるわけではありません。
貸与奨学金を利用する場合は、毎月の貸与額だけでなく、卒業後の返済総額を確認するようにしましょう。看護師として働き始めた後も、家賃、生活費、税金、社会保険料がかかりますので、初任給だけを見て「返せるだろう」と考えず、毎月の返済額まで試算しておきます。
高等教育の修学支援新制度
高等教育の修学支援新制度は、授業料・入学金の減免と、返済不要の給付型奨学金を組み合わせた制度です。大学、短期大学、高等専門学校、専門学校が対象になります。
この制度は、家計の状況や進学先の要件によって支援内容が変わります。また、制度の対象になる学校かどうかは確認が必要です。看護専門学校を選ぶ場合でも、学校が制度の対象になっているかを募集要項や学校窓口で確認しましょう。
給付型の支援は返済不要ですが、学業状況によって継続の可否が判断されることがあります。入学後も出席状況や成績が大切になります。
都道府県の看護師等修学資金
都道府県では、地域の看護職員を確保するために、看護師等修学資金制度を設けている場合があります。看護学校に通う学生へ修学資金を貸与し、卒業後に指定された医療機関や施設で一定期間働くと、返還が免除される仕組みが用意されていることがあります。
この制度は、地域によって貸与額、対象者、返還免除の条件、勤務先の指定、必要な勤務年数が異なります。たとえば、指定施設で5年間働くことが条件になる制度もあれば、貸与月額や勤務先の種類によって免除内容が変わる制度もあります。
返還免除がある制度は魅力的ですが、卒業後の勤務先に条件がつく点には注意が必要です。希望する診療科や地域、働き方と合うかを確認してから申し込みます。
病院奨学金を利用するときの注意点
病院奨学金は、卒業後にその病院で働くことを前提に学費の一部を支援する制度です。一定期間勤務すれば返還が免除される場合があります。
ただし、途中で退学した場合、国家試験に合格できなかった場合、指定された病院に就職しなかった場合、就職後すぐに退職した場合などに、一括返還が必要になることがあります。
申し込む前に、次の内容を必ず確認します。
- 毎月いくら貸与されるのか
- 返還免除には何年の勤務が必要か
- 勤務先や配属先を選べるのか
- 退職した場合の返還額と返還方法
- 国家試験に不合格だった場合の扱い
- 休学や留年をした場合の扱い
病院奨学金は、将来の就職先がある程度決まる安心感があります。一方で、卒業後の選択肢が狭くなる面もあります。金額だけで決めず、働く場所として納得できるかを見ておく必要があります。
社会人は専門実践教育訓練給付金もある
社会人から看護師を目指す場合は、専門実践教育訓練給付金の対象になる講座かどうかも確認したい項目です。厚生労働大臣が指定する講座を受講し、一定の要件を満たす場合、受講費用の一部が支給される制度です。
看護師などの資格取得を目指す養成課程が指定講座に含まれる場合があります。ただし、すべての看護学校が対象になるわけではありません。利用するには、雇用保険の加入歴、受講開始前の手続き、ハローワークでの確認が必要です。
入学後に制度を知っても、受講開始前の手続きが間に合わない場合があります。社会人で進学を考える人は、出願前の段階でハローワークや学校に確認しておくとよいです。
奨学金を借りる前に返済計画を立てる
奨学金は進学を支えてくれる制度ですが、貸与型の場合は卒業後に返済が始まります。看護師として就職できれば収入は得られますが、就職直後は引っ越し、生活用品、通勤費、住民税の支払いなども重なります。
複数の奨学金を組み合わせる場合は、返済先が複数になることがあります。日本学生支援機構の奨学金、病院奨学金、自治体の修学資金を併用する場合、それぞれの返済条件や免除条件を一覧にしておくことが大切です。
| 確認項目 | 確認したい内容 |
|---|---|
| 返済の有無 | 給付型か、貸与型か、条件付きで免除されるのか |
| 返済開始時期 | 卒業後いつから返済が始まるのか |
| 毎月の返済額 | 就職後の生活費と両立できる金額か |
| 返還免除条件 | どこで何年働けば免除されるのか |
| 進路変更時の扱い | 退学、休学、留年、国家試験不合格の場合の扱い |
| 一括返還の有無 | 条件を満たせなかったときに一括返還になるか |
学費を抑えるためにできること
看護学校の学費を抑えるには、複数の学校を比較することが大切です。公立校、私立校、病院附属校、大学では、学費だけでなく通学距離や実習先も変わります。
学費が安い学校でも、自宅から遠くて一人暮らしが必要になれば、生活費を含めた総額は高くなることがあります。反対に、授業料が高めでも、自宅から通えて生活費を抑えられる場合もあります。
学校選びでは、次の内容を比較するようにしてみてください。
- 3年間または4年間の学費総額
- 初年度に必要な金額
- 教科書代、実習着、端末代の有無
- 実習先までの交通費
- 利用できる奨学金や修学資金
- 自宅から通えるか、一人暮らしが必要か
- 国家試験対策や就職支援の内容
授業料だけでなく、卒業までに必要な総額と、卒業後の働き方まで含めて考えると、無理の少ない進路を選びやすくなります。
看護学校の学費は総額で考える
看護学校の学費は、学校によって大きく異なります。公立の看護専門学校では比較的費用を抑えられる例がありますが、私立校や大学では授業料、施設設備費、実習費などを含めた総額が大きくなります。
また、看護学校では教科書代、実習着、ワクチン接種、保険料、実習先までの交通費なども必要です。社会人から進学する場合は、学費に加えて生活費と働けない期間の収入減も考えておく必要があります。
奨学金や修学資金は、看護師を目指す人にとって大きな支えになります。ただし、貸与型の奨学金は返済が必要であり、返還免除型の制度には勤務先や勤務年数の条件があります。入学前に学費総額、生活費、奨学金の条件、卒業後の返済をまとめて確認し、自分に合った進学計画を立てることが大切になります。

