看護学校の選び方 学校比較のポイント

看護師を目指したいと思っても、看護大学、看護短期大学、看護専門学校などの違いが分からないと、どの学校を選べばよいのか迷ってしまうかと思います。学校案内を見ても、学費、実習先、国家試験対策、就職先など、確認する項目が多く、何を基準に比べればよいのか分かりづらいかもしれません。

看護学校を選ぶときは、最初から進学ルートを一つに決めなくても大丈夫です。まずは、看護師を目指せる学校や課程にどのような種類があるのかを知り、それぞれの違いを比べながら、自分の生活や将来の働き方に合うかを考えていくと判断しやすくなります。

この記事では、これから看護師を目指す方に向けて、看護学校の種類、看護大学と専門学校の違い、学費、奨学金、実習先、国家試験対策、就職支援など、学校比較で見ておきたいポイントを整理します。社会人から目指す場合や、准看護師から看護師を目指す場合の確認点にも触れていきます。

看護学校にはどんな種類があるか

看護師になるには、看護師国家試験の受験資格を得られる学校や養成所で学び、国家試験に合格したうえで、看護師免許の登録を受ける流れになります。

看護師を目指す主な進路には、看護大学、看護短期大学、看護専門学校などがあります。中学卒業後から看護師を目指す高校の看護系学科や、准看護師から看護師を目指す進学ルートもあります。

学校・課程の種類 修業年限の目安 特徴
看護大学 4年 看護を幅広く学び、大学卒業資格も得られる
看護短期大学 3年 3年で看護師国家試験の受験資格取得を目指す
看護専門学校 3年または4年 3年制が主な目安だが、4年制の高度専門士課程を設ける学校もある
高校の看護系学科 5年 中学卒業後から看護師を目指すルート
准看護師から進学 2年など 全日制・定時制のほか、実務経験7年以上で通信制課程を選べる場合がある

同じ看護師を目指す学校でも、学ぶ年数、学費、授業の内容、実習先、卒業後の進路は変わります。学校名だけで比べるより、卒業までの流れと入学後の生活を合わせて見ていくと、自分に合う学校を考えやすくなります。

看護大学と看護専門学校の違い

看護学校を比べるとき、多くの方が迷いやすいのが看護大学と看護専門学校の違いです。どちらが上という話ではなく、学ぶ年数、費用、学びの幅、卒業後の進路が少しずつ異なります。

比較項目 看護大学 看護専門学校
修業年限 4年 3年制が主だが、4年制課程を設ける学校もある
学びの特徴 看護学を幅広く学び、研究や地域看護も学びやすい 臨床現場を意識した実践的な学びが中心。4年制課程では高度専門士の称号が付与される場合もある
学費 在学期間が長く、総額が大きくなる場合がある 学校によって差がある。3年制と4年制でも総額が変わる
卒業後 病院就職のほか、保健師・助産師・大学院などの道も考えやすい 病院や地域の医療機関への就職につながりやすい学校もある。高度専門士課程では大学院進学資格に関わる場合もある
考え方の目安 看護を幅広く学びたい、将来の進学も考えたい場合に検討しやすい 看護師資格取得と現場での実践を意識して学びたい場合に検討しやすい

大学は4年間かけて学ぶため、看護の専門科目だけでなく、研究、地域看護、保健医療制度などを広く学ぶ時間があります。保健師や助産師、大学院進学などを将来の選択肢に入れたい場合も、大学の情報を確認しておくとよいでしょう。

専門学校は3年制が主な目安で、看護師国家試験と臨床現場を意識した学びが中心になります。地域の病院や医療機関とつながりを持つ学校もあり、卒業後に地元で働きたい人にとっては比較しやすい選択肢になる場合があります。

近年は、4年制課程を設ける専門学校もあります。文部科学大臣が認めた課程では「高度専門士」の称号が付与される場合があり、大学院入学資格に関わることもあります。専門学校を検討するときは、3年制か4年制か、卒業時の称号はどうなるかも見ておくとよいかと思います。

看護師国家試験の受験資格を確認する

看護学校を選ぶときに欠かせないのが、卒業後に看護師国家試験の受験資格を得られるかどうかです。看護師を目指す場合、学校名に「看護」と入っているだけで判断せず、看護師養成課程として指定されている学校かを確認しておくと安心です。

大学や専門学校の公式サイト、募集要項、学校案内には、卒業後に得られる受験資格や取得できる資格が記載されています。看護師国家試験の受験資格、保健師や助産師の受験資格、卒業時の学位や専門士・高度専門士の扱いなどを見ておきます。

保健師や助産師にも関心がある場合は、看護師資格だけでなく、追加でどの課程を履修できるかも確認しておきたいところです。大学によっては保健師や助産師の課程があっても、全員が履修できるとは限らず、選抜制や定員制になっている場合があります。

学費は卒業までの総額で見る

看護学校の学費は、学校の種類や公立・私立によって大きく変わります。初年度納入金だけを見ると比べやすく感じますが、実際には卒業までの総額で考えるほうが現実に近くなります。

入学金、授業料、施設設備費、実習費、教科書代、実習着、靴、聴診器、ワクチン接種、保険料、実習先までの交通費など、看護学校では授業料以外にも費用がかかります。一人暮らしをする場合は、家賃や生活費も加わります。

確認項目 見ておきたい内容
初年度納入金 入学金、授業料、施設設備費などを含めた金額
卒業までの総額 3年間または4年間で必要になる学費の合計
教材費 教科書、電子教材、タブレット端末などの費用
実習関連費 実習着、靴、保険料、ワクチン接種、交通費など
生活費 自宅通学か一人暮らしかで大きく変わる
奨学金・給付制度 給付型、貸与型、返還免除型、教育訓練給付金などの条件を確認する

学費が低い学校でも、自宅から遠くて一人暮らしが必要になれば、生活費を含めた負担は大きくなる場合があります。反対に、授業料が高めでも、自宅から通えることで生活費を抑えられる場合もあります。

高校生や学生本人の場合は、保護者と一緒に総額を確認しておくと話し合いがしやすくなります。社会人から目指す場合は、在学中の収入がどう変わるかも含めて考えておくと安心です。

奨学金や給付制度を確認する

看護学校では、日本学生支援機構の奨学金、国の高等教育の修学支援新制度、都道府県の看護師等修学資金、病院奨学金、学校独自の奨学金などを利用できる場合があります。社会人の場合は、専門実践教育訓練給付金の対象講座かどうかも確認しておきたい項目です。

奨学金には、返済不要の給付型、卒業後に返済する貸与型、指定された医療機関で一定期間働くと返還が免除される修学資金などがあります。金額だけでなく、返済条件や勤務条件を確認しておくと、卒業後の負担を考えやすくなります。

制度 確認したい内容
高等教育の修学支援新制度 学校が対象校か、世帯収入や家族構成の条件に合うか
日本学生支援機構の奨学金 給付型か貸与型か、毎月の金額と返済条件
都道府県の看護師等修学資金 返還免除の条件、勤務先、勤務年数
病院奨学金 卒業後の勤務条件、退職時の返還条件
学校独自の支援制度 対象者、募集人数、申請時期
専門実践教育訓練給付金 雇用保険の加入歴がある社会人向けの給付制度。対象講座か、受講前手続きが必要かを確認する

病院奨学金や自治体の修学資金は、卒業後の勤務先と結びつく場合があります。返還免除がある制度は学費負担を抑える助けになりますが、進路変更や早期退職をした場合に返還が必要になる場合もあります。申し込む前に、条件を紙面で確認しておきたいところです。

専門実践教育訓練給付金は、厚生労働大臣が指定する講座で学ぶ場合に、受講費用の一部が支給される制度です。一定の条件を満たすと追加支給を受けられる場合もあります。雇用保険の加入歴、対象講座かどうか、受講開始前の手続きなどを確認しておくと安心です。

入学後に制度を知った場合、手続きの期限に間に合わない可能性があります。社会人から看護学校を目指す場合は、出願前の段階で学校とハローワークに確認しておくとよいです。

実習先と通学の負担を見る

看護学校では、講義だけでなく臨地実習も大きな学びになります。実習では、病院、介護施設、訪問看護、地域の保健機関などで、患者さんや利用者さんへの看護を学びます。

学校を選ぶときは、どのような実習先があるのか、実習先まで通える距離か、実習期間中のサポート体制があるかを確認しておきたいです。実習先が複数に分かれる場合、交通費や移動時間も負担になります。

実習期間は朝が早く、記録や事前学習で夜の時間も使う場合があります。学校説明会では、実習時期、実習先、1日の流れ、実習記録の量、教員のサポートについて聞いてみると、入学後の生活を想像しやすくなります。

確認項目 見ておきたい内容
自宅から学校まで 平日の通学時間、乗り換え回数、交通費
実習先まで 朝早く出発して通える距離か
一人暮らし 家賃、生活費、学校周辺の環境
アルバイト 授業や実習と両立できる範囲か
家庭との両立 育児、介護、家事の時間を確保できるか

看護学校は、入学してからの学習量が多くなります。通学時間や生活費を軽く見てしまうと、学習や実習に集中しにくくなる場合があります。学校の魅力だけでなく、毎日の生活として続けられるかを考えておきたいです。

国家試験対策と合格率を見る

看護学校を比較するとき、国家試験の合格率は気になる項目です。合格率は学校のサポート体制を知る材料になりますが、数字だけで学校の良し悪しを決めるより、支援内容と合わせて見るほうが現実に近い判断になります。

確認したいのは、合格率そのものだけでなく、国家試験対策をどのように行っているかです。模試の回数、補習、個別面談、苦手科目への支援、過去問演習、学習相談などがあるかを見ます。

確認項目 見ておきたい内容
国家試験合格率 直近年度だけでなく、数年分の推移を見る
新卒合格率 卒業年度に受験した学生の合格状況を確認する
模試・補習 定期的な模試や苦手分野への支援があるか
個別支援 成績不安がある学生への面談や学習相談があるか
学習環境 自習室、図書館、教材、オンライン学習環境があるか

国家試験合格率が高くても、学生数が少ない学校では年度によって数字が大きく動くことがあります。合格率を見るときは、定員数、受験者数、数年分の傾向、学校の支援内容を合わせて確認するとよいです。

就職支援と卒業後の進路を見る

看護学校を選ぶときは、卒業後の就職先も確認しておくと安心です。病院附属の学校では、関連病院への就職が多い場合があります。大学では、病院だけでなく、地域、行政、進学など幅広い進路に対応している場合もあります。

就職支援では、求人情報の提供、面接対策、履歴書指導、卒業生の就職先、就職相談の体制などを確認します。自分が将来働きたい分野に近い進路実績があるかを見ると、学校選びの参考になります。

確認項目 見ておきたい内容
主な就職先 病院、クリニック、訪問看護、介護施設など
関連病院 附属病院や実習先への就職が多いか
就職支援 面接対策、履歴書指導、個別相談があるか
卒業生の進路 就職、進学、保健師・助産師課程への進学など
地域とのつながり 地元で働きたい場合、地域の求人に強いか

看護師として最初に働く職場は、学び直しや新人教育の面でも大切です。学校の就職実績を見るときは、就職率だけでなく、どのような職場に就職しているかまで確認するとよいです。

学校の雰囲気とサポート体制を見る

看護学校では、授業、演習、実習、グループワークなどを通して、教員や同級生と関わる時間が多くなります。学校の雰囲気が自分に合うかどうかも、続けていくうえで見ておきたい点です。

オープンキャンパスや学校説明会では、校舎のきれいさだけでなく、教員や在校生の話し方、質問への対応、演習室の設備、図書室、自習スペース、相談窓口などを確認しておくと、入学後のイメージが持ちやすくなります。

社会人入学者がいるか、子育て中の学生への配慮があるか、成績不安がある学生への支援があるかも確認したい部分です。学生生活で困ったときに相談できる場所があるかどうかは、入学後の安心感につながります。

社会人から看護師を目指す場合

社会人から看護師を目指す場合は、学費に加えて、在学中の生活費と時間の使い方を考えておく必要があります。授業や実習があるため、現在の仕事をどのように調整するかも学校選びに関わってきます。

学校選びでは、社会人入試の有無、年齢層、既卒者の受け入れ状況、奨学金、専門実践教育訓練給付金の対象講座かどうかを確認します。社会人経験者がどのくらい在籍しているかを聞くと、入学後の雰囲気を想像しやすくなります。

雇用保険の加入歴がある社会人は、志望校が専門実践教育訓練給付金の対象講座になっているかも確認しておきたいです。対象講座で一定の条件を満たす場合、受講費用の一部が支給されるため、学費負担を考えるうえで大きな判断材料になります。

給付を受けるには、受講開始前の手続きやハローワークでの確認が必要です。入学後に知っても間に合わない場合があるため、出願前の段階で学校とハローワークに確認しておくと安心です。

実習期間中は、アルバイトや家庭の予定を減らす必要が出ることがあります。入学前に、貯蓄、奨学金、家族の協力、通学時間、体力面まで含めて考えておくと、入学後の負担を見通しやすくなります。

准看護師から看護師を目指す場合

准看護師として働いている人が看護師を目指す場合は、進学課程の種類を確認します。全日制や定時制の2年課程のほか、准看護師として7年以上の実務経験がある場合は、通信制課程を選べることがあります。

通信制課程は、働きながら看護師資格を目指したい人にとって選択肢になります。通信制であっても、面接授業、紙上事例演習、実習に代わる学習、登校日、国家試験対策などがあります。自宅学習だけで完結するものと考えず、学校ごとのカリキュラムを確認しておくと安心です。

准看護師から進学する場合は、勤務先の理解も大切です。シフト調整、学費支援、進学支援制度、実習期間中の勤務扱いなどを確認しておくと、入学後の負担を見通しやすくなります。

学校説明会で聞いておきたい質問

学校案内や公式サイトだけでは分かりにくいことは、学校説明会やオープンキャンパスで確認します。聞きたいことを事前にメモしておくと、比較しやすくなります。

  • 卒業までに必要な学費総額はいくらか
  • 教科書代、実習着、ワクチン接種、交通費は別にいくらかかるか
  • 3年制か4年制か、卒業時の称号はどうなるか
  • 高度専門士課程の場合、大学院入学資格に関わる扱いはどうなるか
  • 実習先はどこか、実習先までの移動はどのくらいか
  • 国家試験対策はいつから始まるか
  • 成績が不安な学生への補習や相談はあるか
  • 社会人学生や既卒者はどのくらいいるか
  • 専門実践教育訓練給付金の対象講座か
  • 卒業生はどのような職場に就職しているか
  • 奨学金や修学資金の利用実績はあるか
  • 保健師や助産師の課程がある場合、履修条件はどうなっているか
  • 准看護師から進学する場合、全日制・定時制・通信制のどの課程があるか
  • 退学や休学をした場合、奨学金や学費の扱いはどうなるか

説明会では、良い面だけでなく、実習の大変さや学習量についても聞いておくとよいです。入学後の生活を具体的に想像できる学校のほうが、ミスマッチを減らしやすくなります。

看護学校比較のチェックリスト

比較項目 確認内容
受験資格 卒業後に看護師国家試験の受験資格を得られるか
修業年限 3年か4年か、卒業まで何年かかるか
卒業時の称号 専門士、高度専門士、学士などの扱いを確認する
学費総額 初年度だけでなく卒業までの総額を見る
奨学金・給付制度 給付型、貸与型、返還免除型、専門実践教育訓練給付金の条件を確認する
実習先 実習先の種類、場所、通学負担を確認する
国家試験対策 合格率だけでなく、模試や補習の体制を見る
就職支援 卒業生の就職先、面接対策、求人情報を確認する
通学 学校と実習先に無理なく通えるか
学生サポート 学習相談、生活相談、社会人学生への配慮があるか
准看護師からの進学 全日制、定時制、通信制の有無と入学条件を確認する
学校の雰囲気 教員、在校生、校舎、自習環境が自分に合うか

自分の生活と将来に合う学校を選ぶ

看護学校を選ぶときは、学費、通学、国家試験合格率のどれか一つだけで決めるより、卒業まで通い続けられるか、国家試験に向けて学べる環境があるか、卒業後の働き方につながるかを合わせて考えるとよいです。

看護大学、看護短期大学、看護専門学校、准看護師からの進学ルートには、それぞれ特徴があります。専門学校の中にも3年制と4年制があり、卒業時の称号やその後の進学資格が変わる場合もあります。社会人の場合は、専門実践教育訓練給付金の対象講座かどうかも、早めに確認しておきたいところです。

早く働き始めたい人、幅広く学びたい人、社会人から学び直したい人、准看護師から看護師を目指したい人、地元で働きたい人では、合う学校も変わります。

気になる学校が見つかったら、公式サイトや募集要項で受験資格、学費、実習先、国家試験対策、奨学金を確認し、説明会で具体的な質問をしてみるとよいです。学校名や雰囲気だけでなく、自分の生活と将来の働き方に合うかを見ながら比較することが、看護学校選びの大切なポイントになります。

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