特養・老健・グループホームの違い|それぞれの特徴と働き方

介護施設にはさまざまな種類がありますが、特によく名前を聞くのが特別養護老人ホーム(特養)・介護老人保健施設(老健)・グループホームの3つです。

それぞれの施設の目的・入居対象・提供するケアの違い・働き方の特徴を比較しながら、どんな人に向いている職場かを解説します。

基本を確認:3つの施設の概要

特別養護老人ホーム(特養)

特養は、要介護3以上の高齢者が長期的に入所し、生活全般の介護を受ける施設です。
社会福祉法人や地方自治体が運営する公的な介護保険施設であり、入居費用も比較的安く抑えられます。

特徴まとめ:

  • 入居対象:要介護3以上
  • 入居期間:原則的に終身
  • 提供するケア:食事・入浴・排泄などの身体介助、生活支援
  • 夜勤:あり(2交代または3交代)
  • 医師の常駐:なし(非常勤が多い)

入所希望者が多く、待機者が多い施設の一つです。

介護老人保健施設(老健)

老健は、病院を退院した高齢者が在宅復帰を目指してリハビリを受ける施設です。
医師が常駐し、医療と介護の中間的な施設という位置づけになっています。

特徴まとめ:

  • 入居対象:要介護1以上、特に要介護2〜3が中心
  • 入居期間:原則3〜6ヶ月の短期
  • 提供するケア:日常介助+機能訓練・リハビリ
  • 夜勤:あり(交代制)
  • 医師の常駐:あり(医療職との連携が必要)

在宅復帰支援という明確な目的があるため、介護職も医療的な視点を持った対応が求められます。

グループホーム

グループホームは、認知症の診断を受けた高齢者が少人数で共同生活を送るための施設です。
家庭的な雰囲気の中で、できることはできるだけ自分で行ってもらう「自立支援型」の介護が特徴です。

特徴まとめ:

  • 入居対象:要支援2以上かつ認知症の診断がある方
  • 入居期間:長期(本人の状態に応じて継続)
  • 提供するケア:生活支援・認知症ケア・見守り中心
  • 夜勤:あり(1人夜勤が基本)
  • 医師の常駐:なし(提携医師による訪問)

一人ひとりとの距離が近く、日常生活を支える感覚で働ける職場です。

3つの施設の違いを一覧で比較

項目 特養 老健 グループホーム
入居条件 要介護3以上 要介護1以上 要支援2以上+認知症
入居期間 終身利用 原則3〜6ヶ月 長期利用可
ケアの特徴 生活全般の支援 医療・リハビリ重視 家事・認知症ケア重視
医師の常駐 非常勤 常勤 なし(訪問医)
1ユニット定員 大規模(50名以上)も可 中〜大規模 9人以下の少人数制
夜勤体制 複数名体制 医療職と連携 1人夜勤が基本
働く雰囲気 安定・ルーティン多め 医療と介護の橋渡し アットホーム・臨機応変さ重視

働く人の視点で見る「向いている人」の特徴

◎特養が向いている人

  • 利用者と長く関係を築きたい人
  • 安定した職場で働きたい人
  • 介護の基本をしっかり身につけたい人

◎老健が向いている人

  • 医療的な知識を深めたい人
  • リハビリや在宅復帰支援に興味がある人
  • 医療職と連携するチームケアが得意な人

◎グループホームが向いている人

  • 少人数の利用者とじっくり関わりたい人
  • 認知症ケアに関心がある人
  • 料理や掃除など生活支援も抵抗なくできる人

よくある質問(Q&A)

Q. 介護未経験でも働けるのはどこ?
A. 3施設とも未経験者の採用はありますが、グループホームや特養は日常介護が中心のため、入門的な職場として選ばれることが多いです。

Q. 夜勤の負担は?
A. 特養・老健は複数人夜勤で安心感がある一方、グループホームは1人夜勤が基本のため、緊急時対応力が求められます。

Q. どの施設が一番大変?
A. 利用者の状態や職場の人手によりますが、老健は医療との連携が多く、特養は重度の介護が必要なケースも多い傾向があります。

職場選びは「何を大切にしたいか」で決まる

特養・老健・グループホームには、それぞれ明確な役割と特色があります。働く上で重要なのは、自分がどんな利用者と関わりたいか、どんなスタイルのケアにやりがいを感じるかという視点です。

  • じっくり寄り添いたいなら特養
  • 医療との連携を経験したいなら老健
  • 家庭的なケアに興味があるならグループホーム

自分の価値観やキャリアの方向性を明確にしながら、職場を選んでみてください。

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