介護職の賃金は本当に上がった?最新統計から見る実態

介護職の賃金水準は、長年「低い」と言われ続けてきました。少子高齢化が進み、介護人材の確保が社会的な課題となるなかで、政府はさまざまな処遇改善策を講じています。では実際に、介護職の賃金は上がっているのでしょうか。統計データをもとに、その実態を調べてみました。(2025年8月時点)

介護職の平均賃金の推移

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」や「介護従事者処遇状況等調査」によると、介護職員の平均賃金はこの10年で緩やかに上昇しています。特に処遇改善加算やベースアップ加算の導入以降、月額で1〜3万円程度の上昇が確認されています。

  • 2010年代前半:月収は平均20万円前後で推移
  • 2020年代前半:処遇改善策により月収は平均25万円台に
  • 2025年時点:全産業平均よりは依然として低いが、上昇傾向は続いている

数字だけを見れば確かに改善していますが、物価高や他業種との比較では「十分」とは言えない状況かと思います。

職種別に見る賃金の差

介護職と一口にいっても、職種や役職によって賃金水準は異なります。

  • 介護職員(無資格・初任者研修修了者):月収20〜23万円程度
  • 介護福祉士:月収25〜28万円程度
  • ケアマネジャー(介護支援専門員):月収28〜30万円程度
  • サービス提供責任者:月収26〜29万円程度

資格を持つことで一定の賃金上昇が見込める点は明確ですが、依然として「責任や負担に見合っていない」と感じる人は少なくありません。

他業種との比較

全産業の平均賃金と比較すると、介護職の水準は依然として低めです。

  • 全産業平均(月収):約33万円
  • 介護職平均(月収):約25万円

つまり、およそ8万円程度の差があります。これが人材確保の難しさにつながっている要因のひとつです。

賃金が上がらないと感じる理由

統計上は賃金が上がっているのに、現場の声として「賃金が上がっていない」と言われるのはなぜでしょうか。

  • 物価上昇の影響:実質賃金でみると上がり幅が小さい
  • 勤務形態の多様化:パート・非正規雇用が多く、平均賃金が下がる要因に
  • 業務負担の増大:処遇改善加算で賃金は増えても、業務量や責任も増している
  • 地域差:都市部と地方で賃金格差が大きい

こうした背景が、「実感として賃金が上がっていない」との声につながっています。

※統計データで示される賃金は、額面(総支給額)が基本です。基本給や諸手当を含んだ「現金給与額」がベースとなっており、税金や社会保険料を引かれる前の金額です。一方で、実際に生活に直結するのは手取り額です。額面25万円の給与であっても、社会保険料や所得税などを控除すると、手取りは20〜21万円程度になることが多いです。

今後の見通し

政府は介護人材の確保を目的に、今後も処遇改善を継続するとしています。特に2024年度の介護報酬改定では、賃上げに直結する加算が重視されました。さらに、人材不足が深刻化する中で、2025年以降も賃金改善の流れは続く見込みです。

ただし、介護職の処遇改善は「加算ありき」の仕組みであり、施設経営の状況や地域によって差が出やすいのが現状かと思います。抜本的に改善するには、制度面の見直しと社会全体の理解が必要だと思われます。

まとめ

介護職の賃金は、統計的には確かに上昇しています。しかし全産業平均と比べると依然として差があり、インフレも続いているため現場の体感としては「上がった実感が乏しい」という声も多いのが実態です。

処遇改善策は続いており、今後も上昇傾向は期待できますが、介護の担い手を安定的に確保するには、働きやすさや社会的評価の向上も含めた総合的な改善が求められています。


出典・参考資料

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