介護福祉士の実務経験はどう数える?勤務形態別の考え方

介護福祉士を実務経験ルートで目指す場合、実務経験の数え方を早めに理解しておく必要があります。介護の仕事を3年続けていれば自動的に受験できるというわけではなく、実務経験には「従業期間」と「従事日数」という2つの考え方があります。

従業期間は、実務経験の対象となる施設や事業所、職種で在職していた期間です。従事日数は、雇用契約に基づいて、実際に介護等の業務に従事した日数です。実務経験ルートでは、どちらか一方ではなく、両方の条件を満たす必要があります。

この記事では、介護福祉士の実務経験をどう数えるかを、正社員、パート、夜勤専従、複数事業所勤務、転職経験がある場合など、勤務形態別に解説します。受験前になってから日数不足になっていると慌てないように、早めに勤務記録と証明書の考え方を押さえておきましょう。

実務経験ルートで必要になる2つの日数

介護福祉士国家試験の実務経験ルートでは、介護等の業務に従事した実務経験と、実務者研修の修了が関係します。実務経験については、従業期間と従事日数の両方を見る必要があります。

項目 意味 見る内容
従業期間 対象施設・事業所・職種で在職していた期間 入職日から退職日、または試験実施年度の3月31日までの期間
従事日数 実際に介護等の業務を行った日数 出勤して介護等の業務に従事した日

従業期間は、在職していた期間を見ます。従事日数は、実際に介護等の業務を行った日を数えます。たとえば、在職期間が3年以上あっても、勤務日数が不足していれば、受験資格を満たせない場合があります。

反対に、勤務日数が多くても、在職期間が3年に届いていなければ、従業期間の条件を満たせません。実務経験を考えるときは、勤務年数だけでなく、実際に働いた日数も一緒に見ます。

従業期間の考え方

従業期間は、実務経験の対象となる施設や事業所、職種で在職していた期間です。介護福祉士国家試験を受験するには、試験実施年度の3月31日までに必要な従業期間を満たす必要があります。社会福祉振興・試験センターの従業期間計算表では、必要な従業期間として1,095日以上と示されています。

従業期間には、在職期間として扱われる期間があります。公式情報では、産休、育休、病休などの休職期間は在職期間に含まれるとされています。ただし、従事日数とは別の考え方です。休職期間が従業期間に含まれても、その期間に介護等の業務を行っていなければ、従事日数には入りません。

状況 従業期間の考え方
正社員として在職 対象職種で在職していた期間を数える
パートとして在職 対象職種で雇用されていた期間を数える
産休・育休・病休 在職期間として扱われる
退職後の空白期間 従業期間には入らない
転職した場合 対象となる職場ごとの期間を通算する

従業期間は、勤務形態が正社員かパートかだけで決まりません。対象施設や対象職種に該当するか、雇用期間がどのように証明されるかが重要です。

従事日数の考え方

従事日数は、雇用契約に基づいて実際に介護等の業務を行った日数です。公式情報では、休暇、欠勤、出張、研修などにより実際に介護業務に従事しなかった日数は除くとされています。また、1日の勤務時間は問われません。

この点は、パート勤務や短時間勤務の方にとって重要です。1日8時間勤務でなければ数えられない、という仕組みではなく、短時間勤務でも、その日に介護等の業務に従事していれば、従事日数として数えることができます。

状況 従事日数の考え方
介護業務を行った日 従事日数に入る
短時間勤務で介護業務を行った日 勤務時間にかかわらず1日として扱う
有給休暇 実際に介護業務を行っていないため入らない
欠勤 実際に勤務していないため入らない
研修のみの日 介護業務を行っていなければ入らない
事務作業のみの日 介護等の業務に該当しない場合は入らない

従事日数は、給与が出た日ではなく、実際に介護等の業務に従事した日で考えます。有給休暇や研修日は、給与の支給があっても、介護業務を行っていなければ従事日数には入りません。

正社員の場合

正社員として介護職に従事している場合、従業期間は入職日から在職している期間で考えます。従事日数は、実際に介護業務を行った勤務日を数えます。

正社員は勤務日数が多いため、従事日数の条件を満たすまでの期間をイメージしやすいです。ただし、有給休暇、欠勤、研修のみの日、介護業務を行っていない日は従事日数に含めません。

項目 正社員で見る内容
従業期間 入職日から退職日、または在職中の算定日まで
従事日数 介護等の業務を行った勤務日
有給休暇 従事日数には入れない
研修日 介護業務を行っていなければ従事日数には入れない
夜勤 実際に介護業務を行った勤務として扱う

正社員でも、介護職として採用されているか、相談員や事務職など別の職種が中心になっていないかを確認する必要があります。対象職種に該当するかどうかは、実務経験証明書を作成する事業所にも確認します。

パート勤務の場合

パート勤務でも、対象施設や対象職種で介護等の業務に従事していれば、実務経験として扱われます。勤務時間が短い日でも、介護等の業務を行った日は従事日数として数える考え方です。

ただし、週2日勤務や週3日勤務の場合、従事日数のカウントは正社員より遅くなります。在職期間が3年を超えていても、従事日数が不足している可能性があります。

勤務形態 従業期間 従事日数
週2日勤務 在職期間として数える 介護業務を行った日を積み上げる
週3日勤務 在職期間として数える 勤務日数に応じて積み上げる
短時間勤務 在職期間として数える 介護業務を行った日は1日として扱う
扶養内勤務 在職期間として数える 出勤日数が少ないため不足に注意する

パート勤務の方は、従業期間よりも従事日数が不足する可能性に注意します。勤務表や給与明細だけでは介護業務に従事した日数を正確に示せない場合もあるため、事業所に早めに確認しておくと安心です。

夜勤専従の場合

夜勤専従で働く場合も、対象職種として介護等の業務に従事していれば、実務経験の対象になります。夜勤は勤務時間が長いため、時間数で多く数えられると考えたくなるかもしれませんが、従事日数は時間数ではなく日数で考えます。

夜勤の数え方は、勤務先の実務経験証明書の作成方法にも関わります。夜勤が1勤務で暦日をまたぐ場合、どのように従事日数として扱われるかは、証明書を作成する事業所に確認します。

見る項目 確認する内容
勤務開始日 夜勤入りの日をどのように記録しているか
勤務終了日 夜勤明けの日をどのように扱うか
勤務表 夜勤回数と勤務日の記録が残っているか
証明書 事業所が従事日数をどう証明するか

夜勤専従の方は、自分で日数を推測するだけでなく、勤務先に「実務経験証明書では夜勤の従事日数をどのように記載しますか」と聞いておくのが安全です。

派遣勤務の場合

派遣勤務の場合も、対象となる施設や事業所で介護等の業務に従事していれば、実務経験の対象になります。ただし、雇用主と勤務先が異なるため、実務経験証明書を誰が作成するかを確認しておく必要があります。

通常派遣会社が雇用主であり、実際の勤務先が介護施設という形になるため、勤務実績、派遣先、職種、従事日数を証明できる体制が必要です。派遣先が変わる場合は、勤務先ごとの記録を残しておくと後で確認しやすくなります。

見る項目 確認する内容
雇用主 派遣会社との雇用契約になっているか
派遣先 実際に勤務した施設・事業所名
職種 介護等の業務に従事していたか
勤務記録 勤務日数を確認できる記録が残っているか
証明書作成 派遣会社または関係先が証明書を作成できるか

派遣で働く方は、派遣会社に実務経験証明書の作成実績があるかを早めに聞いておくとよいです。派遣先が複数ある場合、後から勤務先や日数を集めるのに時間がかかります。

複数の事業所で働いている場合

複数の事業所で働いている場合、それぞれの事業所での実務経験を通算して考えます。ただし、同じ日に複数の事業所で介護等の業務を行った場合でも、従業期間・従事日数は1日として扱われます。公式情報でも、同じ日に複数の事業所で介護等の業務を行った場合は1日として扱うこと、複数事業所に所属する場合は従事日数内訳証明書が必要であることが示されています。

状況 考え方
A施設で午前、B事業所で午後に勤務 同じ日の勤務は1日として扱う
平日はA施設、土日はB事業所 日付が重ならない勤務日は通算できる
転職でA施設からB施設へ移った それぞれの勤務期間・従事日数を通算する
同じ期間に複数事業所へ所属 従事日数内訳証明書が必要になる

複数事業所勤務の方は、日付の重複に注意します。午前と午後に別々の事業所で働いても、2日分にはなりません。勤務先ごとの証明書が必要になるため、過去の勤務先へ連絡できる状態にしておくことも大切です。

転職した場合

転職した場合でも、対象となる施設や職種で介護等の業務を行っていれば、前職と現職の実務経験を通算できます。1つの職場で連続して3年間働く必要があるわけではありません。

ただし、転職した場合は、勤務先ごとに実務経験証明書を用意する必要があります。過去の勤務先が閉鎖している、法人名が変わっている、担当者が分からないという場合、証明書の準備に時間がかかります。

状況 対応
前職と現職がどちらも対象職種 それぞれの期間と従事日数を通算する
途中に空白期間がある 空白期間は従業期間に入れない
前職の勤務先が遠方 証明書作成を郵送で依頼できるか確認する
法人名が変わった 現在の法人や事業承継先へ確認する
過去の勤務日数が不明 勤務表、給与明細、雇用契約書を探す

転職経験がある方は、受験申込の直前ではなく、早めに前職へ証明書の作成を依頼します。証明書の作成には事業所側の確認作業が必要になるため、時間に余裕を持つ必要があります。

訪問介護で働いている場合

訪問介護で働いている場合も、対象となる介護等の業務に従事していれば、実務経験の対象になります。訪問介護では、1日の中で複数の利用者宅を訪問する場合がありますが、従事日数は訪問件数ではなく、介護等の業務に従事した日で考えます。

同じ日に複数件の訪問を行っても、従事日数は1日として扱います。訪問件数が多いほど日数が増えるわけではありません。

訪問介護の状況 考え方
1日に1件訪問 介護等の業務に従事した日として扱う
1日に複数件訪問 同じ日であれば1日として扱う
移動のみの日 介護業務を行っていなければ従事日数には入らない
記録や会議のみの日 介護等の業務に該当するか事業所へ確認する

訪問介護では、勤務記録やサービス提供記録が実務経験の確認に関わります。勤務日、訪問内容、職種を事業所が証明できる形になっているかを確認しておきます。

生活相談員やサービス提供責任者の場合

生活相談員やサービス提供責任者として働いている場合、実務経験に該当するかどうかは、実際に行っている業務内容と対象職種の扱いを確認する必要があります。介護等の業務には、身体上または精神上の障害により日常生活に支障がある方への介護や、本人・介護者への介護に関する指導が含まれるとされています。

サービス提供責任者は、訪問介護計画、ヘルパー調整、利用者や家族との連絡、介護業務などを担います。実際の業務内容が実務経験の対象として証明されるかは、勤務先に確認します。

職種 確認する内容
生活相談員 介護等の業務や介護に関する指導に該当する業務内容か
サービス提供責任者 訪問介護に関する業務内容が証明されるか
管理者兼務 介護等の業務に従事した日をどのように証明するか
事務兼務 介護業務を行った日と事務のみの日を分けられるか

職種名だけで判断せず、実際にどの業務を行い、事業所がどのように証明できるかを確認する必要があります。

事務職や送迎のみの場合

介護施設で働いていても、すべての職種が介護福祉士の実務経験に該当するわけではありません。事務職、清掃職、調理職、送迎のみの業務などは、介護等の業務に該当するかを慎重に確認する必要があります。

たとえば、デイサービスで送迎業務を担当していても、利用者の乗降介助や見守りを含むのか、運転のみなのかで業務内容が変わります。事務職として採用されている方が一部介護補助を行っている場合も、従事日数として証明できるかは勤務先の記録に左右されます。

業務内容 確認する内容
事務職 介護等の業務に従事した日を証明できるか
送迎のみ 運転業務だけか、介助を含むか
清掃・調理 介護等の業務に該当する内容があるか
介護補助 介護業務として記録されているか

施設で働いているという事実だけで、実務経験として数えられるとは限りません。介護等の業務に従事した日を、事業所が証明できるかを確認します。

休職・産休・育休がある場合

休職、産休、育休、病休がある場合は、従業期間と従事日数を分けて考えます。公式情報では、産休、育休、病休などの休職期間は在職期間に含まれます。一方で、実際に介護業務を行っていない日は従事日数には入りません。

期間 従業期間 従事日数
産休 含まれる 介護業務を行っていなければ入らない
育休 含まれる 介護業務を行っていなければ入らない
病休 含まれる 介護業務を行っていなければ入らない
有給休暇 在職期間の中に含まれる 介護業務を行っていなければ入らない
欠勤 在職期間の中に含まれる場合がある 入らない

休職期間がある方は、従業期間だけを見ると足りているように見えても、従事日数が不足する場合があります。復職後の勤務日数も含めて、受験予定年度に間に合うかを確認します。

実務経験見込みで申し込む場合

受験申込の時点で実務経験が不足していても、試験実施年度の3月31日までに従業期間と従事日数が必要日数以上になる見込みであれば、「実務経験見込み」として受験できる扱いがあります。

実務経験見込みで申し込む場合は、申込時点の証明だけで終わりません。試験実施年度の3月31日までに要件を満たし、必要な証明書を提出する流れになります。

見る項目 確認する内容
申込時点の日数 従業期間と従事日数がどこまで積み上がっているか
3月31日時点の見込み 必要日数に届く勤務予定か
勤務変更 欠勤や休職が発生した場合に不足しないか
証明書提出 見込み後に正式な証明書を提出できるか

実務経験見込みで申し込む方は、勤務予定が変わると日数が不足する可能性があります。夜勤明け、休暇、研修日が従事日数にどう反映されるかを、勤務先に確認しておく必要があります。

実務経験証明書の準備

実務経験は、自分で数えただけでは受験資格の証明になりません。実務経験証明書を勤務先に作成してもらう必要があります。社会福祉振興・試験センターでは、実務経験証明書や従事日数内訳証明書の様式と作成例を案内しています。

複数の事業所で働いた方、転職した方、派遣勤務の方は、証明書の準備に時間がかかります。過去の勤務先に連絡し、必要書類を作成してもらう必要があるため、受験申込の直前では遅れる場合があります。

準備するもの 内容
勤務先の情報 法人名、事業所名、所在地、連絡先
勤務期間 入職日、退職日、在職中の場合の算定日
職種 介護職、訪問介護員、サービス提供責任者など
従事日数 介護等の業務に従事した日数
証明書の依頼先 人事担当、施設長、法人本部など

前職へ依頼する場合は、退職時の書類、雇用契約書、給与明細、勤務表などを手元に用意しておくと話が進みます。事業所側が記録を確認する時間も必要になるため、早めに依頼します。

自分で日数を確認するときの手順

実務経験を自分で確認するときは、従業期間と従事日数を分けて見ると混乱を避けられます。勤務先ごとに期間と日数を出し、最後に通算します。

  1. 対象となる勤務先をすべて書き出す
  2. 勤務先ごとの入職日と退職日を確認する
  3. 職種が実務経験の対象に該当するか確認する
  4. 勤務先ごとの従事日数を確認する
  5. 同じ日に複数事業所で働いた日を重複して数えない
  6. 実務者研修の修了時期も確認する
  7. 勤務先に実務経験証明書の作成を依頼する

自分で作ったメモは、あくまで確認用です。最終的には、勤務先が作成する実務経験証明書の内容が重要になります。数字が合わない場合は、勤務先の記録と照らし合わせます。

勤務形態別の注意点

勤務形態ごとに、注意する点は異なります。正社員は従事日数を満たしやすい一方で、研修日や休暇を除く必要があります。パートは短時間勤務でも1日として扱えますが、勤務日数そのものが少ないため、従事日数が不足する可能性があります。

勤務形態 注意点
正社員 研修日、休暇、介護業務を行っていない日を除く
パート 在職期間が長くても従事日数が不足しないか見る
夜勤専従 夜勤の従事日数を勤務先がどう証明するか確認する
派遣 派遣会社と派遣先の記録を確認する
複数事業所勤務 同じ日の勤務を重複して数えない
転職経験あり 勤務先ごとに証明書を依頼する
休職期間あり 従業期間と従事日数を分けて見る

実務経験の数え方で不安がある場合は、自己判断で済ませず、勤務先や試験センターの案内を確認します。特に複数事業所勤務、派遣、夜勤専従、職種兼務の場合は、早めに証明書の扱いを確認しておく必要があります。

実務者研修の修了時期も合わせて考える

実務経験ルートでは、実務経験だけでなく実務者研修の修了も関係します。平成28年度の第29回試験から、実務経験に加えて実務者研修の修了が必要になっています。

実務経験の日数が足りていても、実務者研修を修了していなければ、受験資格に影響します。国家試験を受ける予定がある方は、実務経験の日数と実務者研修の修了予定日を一緒に確認します。

確認項目 内容
実務経験 従業期間と従事日数の両方を満たすか
実務者研修 修了予定日が受験予定に間に合うか
証明書 実務経験証明書と実務者研修修了証明書を準備できるか
受験申込 申込時点で見込み扱いになるか、修了済みか

実務者研修は、通信学習とスクーリングを含むため、申込から修了までに一定の期間が必要です。介護福祉士を受ける年度が決まっている方は、実務経験だけでなく、研修修了日から逆算して動く必要があります。

実務経験は勤務年数だけで判断しない

介護福祉士の実務経験は、3年働いたかだけでは判断できません。従業期間と従事日数の両方を満たし、対象施設・対象職種で介護等の業務に従事していたことを証明する必要があります。

正社員、パート、夜勤専従、派遣、複数事業所勤務、転職経験がある場合では、確認する点が変わります。短時間勤務でも介護等の業務に従事した日は従事日数に入りますが、同じ日に複数の事業所で働いても1日として扱います。休職や有給休暇がある場合は、従業期間と従事日数を分けて見る必要があります。

受験を考え始めたら、勤務先ごとの在職期間、実際に介護業務を行った日数、実務者研修の修了予定日を確認しておきましょう。実務経験証明書の準備には時間がかかるため、受験申込の直前ではなく、早めに勤務先へ相談するのがよいと思います。

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