サービス管理責任者(通称:サビ管)は、障害福祉サービスの現場で、サービスの質の維持・向上を図るために配置が義務付けられている専門職です。就労継続支援事業(A型・B型)や生活介護、自立訓練、放課後等デイサービスなど、障害者総合支援法や児童福祉法に基づく事業所において重要な役割を担っています。
主な職務内容には、個別支援計画の作成やモニタリング、他の職員への技術的指導、サービス提供の全体的なマネジメントが含まれ、いわば「現場のマネージャー」としての立ち位置にあります。
主な役割と業務内容
サービス管理責任者の業務は多岐にわたりますが、主な内容は以下の通りです。
- 個別支援計画の策定と評価
利用者一人ひとりに合った支援方針を立て、その効果を定期的に評価・見直します。 - アセスメントとモニタリング
利用開始前の状況把握(アセスメント)や、定期的な支援内容の確認(モニタリング)を通じて、適切な支援が継続されるように努めます。 - スタッフへの技術指導
他の支援スタッフに対する専門的な指導・助言も重要な業務の一つです。 - 関係機関との連携
医療機関や相談支援事業所、保護者、行政などと連携し、地域全体で支援体制を構築します。
配置が義務付けられている事業所
サービス管理責任者は、次のような障害福祉サービス事業所で配置が義務とされています。
- 就労継続支援A型・B型
- 就労移行支援
- 生活介護
- 自立訓練(機能訓練・生活訓練)
- 短期入所(ショートステイ)
- 放課後等デイサービス(※児童発達支援管理責任者を配置する場合もあり)
各事業所に1名以上の配置が求められ、利用定員が多い場合には複数名の配置が必要となるケースもあります。
資格取得の要件と流れ
サービス管理責任者になるためには、以下の要件を満たす必要があります。
【1】実務経験
以下いずれかに該当する実務経験が原則5年以上(うち相談支援業務または直接支援業務が3年以上)必要です。
- 介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師、看護師などの国家資格保有者
- 指定施設での常勤支援業務経験者
- 相談支援業務経験者(相談支援専門員など)
【2】サービス管理責任者研修の修了
厚生労働省が管轄する「サービス管理責任者等研修」を受講・修了する必要があります。
- 基礎研修:職務に就くための基本的な知識・技能を学ぶ
- 実践研修:就業後、一定の経験を積んでから受講
なお、実務経験や研修内容に応じて一部研修免除がある場合もあります。
研修内容と開催状況
都道府県が年に1~2回開催しており、定員制・先着制の場合が多く、早めの情報収集と申し込みが必要です。
内容は、制度理解、個別支援計画の立て方、記録の書き方、マネジメントスキルなどが中心となっています。
オンライン開催も増えてきており、地方在住者や在職中の方でも参加しやすくなっています。
キャリアパスと活躍の場
サービス管理責任者としての実務経験を積んだ後、次のようなキャリアが考えられます。
- 施設長や管理者としてのマネジメント業務
- 自ら福祉サービス事業所を立ち上げる起業家
- 研修講師や指導員など、後進育成への道
また、地域包括ケアシステムの中で、福祉と医療の連携を担うキーパーソンとして期待される存在でもあります。
まとめ
サービス管理責任者は、単なる計画作成の担当者ではなく、チーム全体の支援の質を支える中核的な存在です。
経験と研修が求められる職種ではありますが、これから障害福祉分野に携わる方やキャリアアップを目指す方にとって、利用者の成長を見守るやりがいのある仕事です。