介護職として経験を積む中で、「もっと専門的な知識を身につけたい」「将来的に介護福祉士を目指したい」と考える方も多いかと思います。そんなとき、次のステップとしてよく挙がるのが「実務者研修」です。
実務者研修は、介護の現場で必要とされるより高度な知識と技術を学ぶための資格研修です。以前の「ホームヘルパー1級」に相当し、介護福祉士の受験資格としても位置づけられています。
初任者研修を修了していないと受けられないわけではありませんが、すでに初任者研修を終えている方であれば、受講時間の一部が免除されることがあります。
実務者研修で学べること
実務者研修では、身体介護や生活支援の実技に加えて、「医療的ケア」と呼ばれる分野にも触れます。具体的には、たんの吸引や経管栄養といった医療に関する基本的な知識や技術です。
また、利用者一人ひとりのニーズに応じた支援を行うための考え方や、チームの中で自分の役割をどう果たすかといった視点も含まれます。これらは、単に技術を覚えるというよりも、介護の質を高めていくための土台づくりともいえるかと思います。
介護福祉士を目指す上での位置づけ
介護福祉士の国家試験を受けるためには、「実務経験3年」+「実務者研修修了」が必要になります。そのため、現場での経験を積んでいても、実務者研修を修了していないと受験資格が得られないということになります。
そのため、将来的に介護福祉士を目指す場合は、早めに実務者研修を受講しておくと安心です。
サービス提供責任者になれる
訪問介護の事業所などで「サービス提供責任者(サ責)」として働くには、実務者研修の修了が求められます。
利用者やヘルパーの調整、ケア内容の確認など、実務以外の部分でも活躍の場が広がるため、現場経験を活かしながらキャリアアップしたい方には魅力的な選択肢にもなるかと思います。
学習方法と期間・費用の目安
実務者研修は、通信教育とスクーリング(通学)を組み合わせて行うのが一般的です。働きながらでも無理なく続けられるよう、週末中心や夜間コースを設けているスクールも多くあります。
学習時間は450時間が基準ですが、初任者研修を修了している場合、一部の科目が免除されるケースがあります。修了までにかかる期間は4〜6ヶ月が目安で、費用は10万〜18万円程度が多いようです。
自治体によっては助成制度が設けられていることもあるため、費用面が気になる場合は地域の窓口で相談してみるのがよいと思います。
実務者研修を検討するときのポイント
- 介護福祉士を視野に入れているかどうか
- 訪問介護などでサ責を目指したいか
- 今よりも専門性の高い知識を身につけたいか
- 利用者や家族に対して、より自信をもって対応したいと感じているか
こうした思いがある場合には、実務者研修を受講することで得られるものは多いと思いますので、是非検討してみて下さい。
必要に応じて複数のスクールを比較したり、資料を取り寄せて自分に合った学び方を探してみてください。