ケアマネージャーとして一定の実務経験を積んだあと、更なるステップとして注目されているのが「主任介護支援専門員(主任ケアマネ)」です。介護支援の現場におけるリーダー的存在として、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所の中核を担う役割が期待されています。
ここでは、主任介護支援専門員の概要や取得要件、研修内容、役割や今後のキャリア展望についてまとめてみました。
主任介護支援専門員とは
主任介護支援専門員は、ケアマネージャー(介護支援専門員)としての経験を活かし、他のケアマネを支援・指導する役割を持つ上位資格です。法的には資格ではなく、一定の要件を満たして都道府県が実施する「主任介護支援専門員研修」を修了することで、その称号を得られます。
主な役割と業務内容
主任ケアマネは、単なるケアプラン作成者ではなく、以下のような機能を担っています。
- ケアマネージャーへの助言・指導(スーパーバイズ)
- 新人や未経験者の育成・支援
- 困難事例への対応支援
- 多職種連携の促進・調整役
- 地域包括ケアの推進活動
- 地域包括支援センターでの配置要件(1名以上)
居宅介護支援事業所では主任ケアマネが配置されていないと、一定の加算(「主任介護支援専門員加算」など)を算定できないため、事業運営上も重要なポジションとなっています。
取得までの要件(2025年時点)
主任介護支援専門員になるためには、次の条件をすべて満たす必要があります。
- 有効な介護支援専門員証を保有していること
- ケアマネ業務において、実務経験が通算5年以上(うち更新研修後2年以上)あること
- 都道府県が指定する「主任介護支援専門員研修」を修了すること
※経験年数のカウントには注意が必要で、休職期間や事務職など介護支援専門員としての業務に該当しない期間は除かれます。
研修内容と期間
研修は都道府県ごとに実施され、通常以下のような構成です。
- 期間:約1~3か月(通学・グループワーク形式)
- 内容:
- スーパービジョン(指導と支援)の理論と実践
- 困難事例への対応
- 地域支援事業・包括ケアの推進
- 多職種連携とリスクマネジメント
- リーダーシップと職場内支援体制の整備
研修の一部ではロールプレイやケーススタディが取り入れられ、他機関・他職種との連携や組織内での課題解決を図る視点が求められます。
活躍の場とキャリア展望
主任ケアマネとしての活躍の場は年々広がっており、以下のような立場で期待されることが多いです。
- 地域包括支援センター職員
- 居宅介護支援事業所の管理者・責任者
- 新人ケアマネの指導担当
- 研修講師・実習指導者
- 地域ケア会議のファシリテーター
将来的には、介護保険制度の改正に伴い、主任ケアマネの配置がより一層重視されることが予想され、スキルやリーダーシップを活かせる環境も増えると思われます。
おわりに
主任介護支援専門員は、単にケアプランを作成するだけでなく、「人を支える人を支える」立場として、組織や地域の中で重要な役割を果たしています。
介護の質を高めたい、チームで働きたい、自分の経験を誰かの支えにしたいという思いがある方にとっては、大きなやりがいのあるステップになるかと思います。
自分の働き方や地域のニーズに応じて、主任ケアマネへの挑戦を考えてみるのもよいかもしれません。