介護の処遇改善加算は、事業所が介護報酬に上乗せして受け取る仕組みです。職員の給料ではなく、まず事業所の収入に入ります。そのため、給与明細を見ても「処遇改善加算」という名前がそのまま載るとは限りません。
厚生労働省は、賃金改善を行う賃金項目として、基本給、手当、賞与などを特定して実施する形を示しており、安定的な改善のため基本給による対応が望ましいとしつつ、手当や一時金を組み合わせる形も認めています。
明細に出る主な形
給与明細で見ると、処遇改善加算の反映先は大きく三つに分かれます。
ひとつ目は基本給です。基本給に上乗せされる形なら、毎月の土台になる金額が上がります。ふたつ目は各種手当です。たとえば「処遇改善手当」「介護職員等処遇改善手当」など、事業所独自の名称で出る場合があります。三つ目は賞与や一時金です。この形だと毎月の明細では目立たず、年に数回まとめて反映されます。
厚生労働省は、賃金改善の方法を職員に周知し、照会があった場合は書面などで分かりやすく回答するよう求めています。
基本給に入る場合
基本給に入る形は、月ごとの金額の土台が上がるため、給料の安定感が増します。たとえば、もともとの基本給が十八万円で、処遇改善分の一部が基本給に一万円反映されると、翌月以降の基本給は十九万円になります。
賞与が基本給連動の職場では、賞与の計算にも影響が出ます。こうした形は、夜勤回数が減った月でも受取額が急に落ちにくいという形につながります。厚生労働省が基本給による賃金改善を望ましいとしているのは、こうした安定性を重視しているためです。
手当に入る場合
手当に入る形は、明細で処遇改善分を見つけやすい一方で、事業所ごとに名称が違います。「処遇改善手当」と明記する職場もあれば、別の手当にまとめている職場もあります。
手当として出る場合、基本給はそのままで、毎月の支給欄に別建てで載る形になりやすく、増えた金額を把握しやすい反面、事業所の運用変更で支給方法が変わる余地も残ります。自分の明細にどの名前で載っているか分からないときは、就業規則や賃金規程、給与改定通知で対応する欄を見るようにしましょう。
賞与や一時金に入る場合
賞与や一時金に回す形では、毎月の明細を見ても変化が小さく見えます。そのため、月給だけ見て「処遇改善が反映されていない」と感じることもありえます。ただ、年に二回や三回の支給欄まで含めると、実際にはそこで反映されている場合があります。
厚生労働省は、基本給、手当、賞与等のうち対象とする賃金項目を特定して改善する形を認めているため、賞与で出す方法自体は制度の範囲内です。月の明細だけで結論を出さず、賞与明細まで含めて見たほうが誤解が減ります。
明細を見る順番
基本給
まず基本給を見ます。前年や入職時と比べて上がっているなら、処遇改善分の一部がここに入っている可能性があります。特に、夜勤回数が変わっていないのに固定部分が上がっている場合は、その可能性が高まります。
手当欄
次に手当欄を見ます。「処遇改善」「改善加算」「ベースアップ」などの語が入っていないかを見ます。名称が違っても、給与改定のお知らせと突き合わせると判別できる場合があります。
賞与・一時金
月の明細で差が見えないときは、賞与明細や一時金の通知を見ます。ここでまとまって出ているなら、毎月ではなく年数回の反映です。
通知文書
最後に、事業所からの周知文書を見ます。厚生労働省は、賃金改善の方法を職員に周知し、照会に対して分かりやすく答えるよう求めています。どこに反映しているかが明細だけで分からないときは、通知文書がいちばん確実です。
職場ごとに違いが出る理由
処遇改善加算は、事業所内で柔軟に配分できる仕組みです。そのため、同じ地域でも、基本給を厚くする職場、手当に出す職場、賞与に回す職場に分かれます。厚生労働省の制度説明でも、事業所内で柔軟に配分できることが示されています。
したがって、友人の明細と自分の明細で載り方が違っていても、それだけで誤りとは言えません。大切なのは、どの賃金項目に反映しているかが職員に説明されているかどうかです。
明細で分からないときの聞き方
明細を見ても分からないときは、「処遇改善分は基本給、手当、賞与のどこに入っていますか」と聞くと話を通しやすいです。さらに、「毎月の支給ですか、賞与での支給ですか」「前年と比べてどの欄が変わりましたか」と続けると、答えが具体的になります。制度上、事業所には賃金改善の方法を職員に周知することが求められているため、遠慮せずに聞いてよい内容です。
