利回りとは?基本の考え方
利回りとは、投資した元本(投資の元手となるお金)に対して、どれだけの利益が得られたかを示す割合のことです。
例えば、100万円を投資して年間5万円の利益が得られた場合、利回りは5%となります。投資の成果を比較・評価する際に役立てるためのもので、一般的には1年間で得られる収益の割合(年利回り)を指標とすることが多いです。
利回りが高いほど投資効率が良いと判断されがちですが、リスク(投資による利益と損失の振り幅)も知っておく必要があります。単に利回りが高いだけでは、安定した投資とは言えません。
主な利回りと計算方法
利回りにはいくつかの種類があり、投資対象や計算方法によって異なります。
(1) 単純利回り
投資元本に対する年間利益の割合を示す指標です。計算が簡単で、短期投資や固定収益の商品でよく使われます。
計算式:(年間利益 ÷ 投資元本) × 100
例: 投資元本100万円、年間利益5万円の場合
(5万円 ÷ 100万円) × 100 = 5%
目安: 定期預金や国債などの安全性の高い商品では、年利0.1%~1%程度。
(2) 実質利回り
税金や手数料などを考慮した利回りです。実際の手取り利益を把握するために使われます。
計算式: ((年間利益 – 税金 – 手数料) ÷ 投資元本) × 100
例: 年間利益5万円、税金1万円、手数料0.5万円の場合
((5万円 – 1万円 – 0.5万円) ÷ 100万円) × 100 = 3.5%
目安: 投資信託や株式投資では、税引き後の利回りが3%~5%程度。
(3) 複利利回り
得られた利益を再投資し、利益が利益を生む効果を考慮した利回りです。長期投資での資産成長を評価する際に重要となります。複利効果を考慮する場合は以下の計算式を使用します。
計算式: {(最終元本 ÷ 初期元本)^(1 ÷ 投資期間) – 1} × 100
例: 初期元本100万円が10年後に200万円になった場合
{(200万円 ÷ 100万円)^(1 ÷ 10) – 1} × 100 ≈ 7.18%
目安: 長期的な株式市場の平均リターンは、年率5%~7%程度。
(4) 配当利回り
投資した株式に対して、どれだけの配当金が得られるかを示す指標です。株式投資の収益のひとつです。
計算式:配当利回り = (年間配当金 ÷ 株価) × 100
例: 株価が2,000円の株式があり、年間配当金が50円の場合、
目安:(50 ÷ 2000) × 100 = 2.5%
- 日本株の平均的な配当利回りは1%~3%程度。
- 高配当株では4%~6%の銘柄もあるが、業績によって変動する。
配当利回りが高い企業は、安定した収益を上げている可能性がありますが、業績悪化により配当が減額・無配になるリスクもあるため、総合的な分析が必要です。
利回りだけでは判断できない投資の注意点
リスクとのバランス
高い利回りは高いリスク(投資による利益と損失の振り幅)が大きく、損失に大きく振れることも多いので注意が必要です。
他の指標との組み合わせ
株式投資では、PER(株価収益率:株価が1株あたりの利益の何倍になっているか)やPBR(株価純資産倍率:企業の純資産と比較した株価の割安度)などの指標も重要です。投資判断には利回り以外にもいろいろな指標を参照する必要があることは覚えておいて下さい。
利回りを使ったシミュレーションツール
以下のツールを使って、利回りの計算や資産運用のシミュレーションを行うことができます。
(1) 金融庁の「つみたてシミュレーター」
金融庁の公式サイトで、積立投資のシミュレーションが可能です。
(2) 野村證券の「マネーシミュレーター『みらい電卓』」

野村證券が提供するシミュレーターで、運用利回りや投資期間などを入力して将来の資産額を試算できます。
(3) アセットマネジメントOneの「資産運用かんたんシミュレーション」
アセットマネジメントOneが提供するシミュレーターで、運用利回り、初期投資額、毎月の積立金額、積立期間を入力して将来の資産額を試算できます。