【収益性分析】売上高経常利益率とは?本業と財務のバランスを分析

企業の収益性を見るとき、営業利益だけでは把握しきれない部分があります。たとえば、受取利息や持株会社としての配当収入、あるいは借入金に伴う支払利息など、営業活動以外の要素が企業の利益に与える影響も少なくありません。そこで役に立つのが 売上高経常利益率(Ordinary Profit Margin) です。

経常利益は、本業(営業活動)に加えて、財務活動や投資活動から得られる損益も含まれるため、企業の“総合的な収益力”を確認する指標として広く利用されています。

売上高経常利益率とは

売上高経常利益率とは、売上高に対して経常利益がどの程度の割合を占めるかを示す指標です。本業の収益に加え、金融収益や金融費用の影響も反映されるため、より実態に近い収益性をつかむのに役立ちます。

計算式

売上高経常利益率 = 経常利益 ÷ 売上高 × 100
  • 経常利益: 営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用
  • 営業外収益: 受取利息・受取配当金など
  • 営業外費用: 支払利息など

営業利益だけでは見えにくい「財務活動の影響」も含まれる点が特徴です。

売上高営業利益率との違い

売上高営業利益率と比較することで、経常利益率の意味がより理解しやすくなります。

指標 含まれる要素 示す内容
売上高営業利益率 本業(営業活動)による利益 事業運営の効率性
売上高経常利益率 営業利益+金融収益−金融費用 事業と財務を含めた総合的な収益性

営業利益率が高くても、借入金が多く支払利息が重い場合は経常利益率が下がることがあります。そのため、企業の資本構成や財務体質もあわせて読み解くことが大切だと思います。

経常利益率が重要とされる理由

経常利益率は、金融機関や投資家にとって重要な判断材料のひとつとなっています。

  • 営業活動と財務活動のバランスがわかる
  • 企業全体の収益力に近い数字を把握しやすい
  • 利息負担の重さや金融収益の安定性が反映される
  • 景気変動の影響が出やすい(特に金利の変化)

本業の強さに加え、資金調達の方法や財務管理のうまさが数字に表れるため、企業の人的・戦略的な経営姿勢も読み取れる場合があります。

経常利益率が変動する主な要因

経常利益率が上下する理由には、次のような要素が関係することが多いです。

  1. 営業利益の増減
    売上構造や販管費の変化が直接影響します。
  2. 金融収益の変化
    持株会社や投資会社では特に受取配当金の影響が大きくなります。
  3. 支払利息の増減
    借入金の多い企業では金利変動により利益が左右されることがあります。
  4. 為替変動
    輸出入を行う企業は営業外損益に為替差益・差損が反映されます。

「本業の問題なのか」「財務戦略の問題なのか」を切り分けることが、理解を深めるポイントだと思います。

経常利益率を改善するための視点

改善ポイントは、営業利益率の改善と多くの部分が共通していますが、財務面の工夫も加わります。

① 本業の採算性を高める

  • 粗利率を高めるための付加価値向上
  • 販管費の最適化
  • 価格設定の見直し

② 財務負担の軽減

  • 借入金の返済による支払利息の減少
  • 金利の低い金融機関への借り換え
  • 余剰資金の運用効率を高める

③ 業績に合わせた資本構成の見直し

  • 財務レバレッジの使い方を慎重に検討する
  • 安定性と収益性のバランスを意識する

営業利益率と比べると、財務戦略に関する意思決定がより強く影響する点が特徴です。

粗利率・営業利益率との組み合わせが大切

経常利益率はいわば「総合得点」のような指標であるため、単独で評価するよりも、粗利率や営業利益率とあわせて見ていくことで企業の収益構造がより明確になります。

  • 粗利率:商品・サービスの付加価値
  • 営業利益率:事業運営の効率性
  • 経常利益率:事業+財務の総合的な収益力

この3つの流れを見ることで、企業がどの部分を強みとしているのか、どの部分に改善の余地があるのかが把握しやすくなると思います。

おわりに

売上高経常利益率は、本業の収益力だけではなく、財務戦略の良し悪しも反映される指標です。企業のバランスの取り方や、外部環境に対する安定性を読み取るうえでも役立つため、収益性分析の中でも参考にしやすい指標のひとつだと思います。