企業の収益性を見るとき、売上総利益(粗利)だけではなく、販売活動や管理活動を含めた「事業全体の採算性」を知りたい場面があります。そこで役立つのが、売上高営業利益率(Operating Profit Margin) です。営業活動によってどれだけ効率よく利益を生み出しているかを示すもので、企業の本業の強さを知るうえで欠かせない指標だと思います。
売上高営業利益率とは
売上高営業利益率は、売上高のうちどれだけが営業利益として残ったかを示す割合です。営業利益は企業が本業で稼いだ利益のため、この比率が高いほど、本業の収益構造が強いと見られます。
計算式
売上高営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高 × 100
- 営業利益: 売上総利益 - 販売費及び一般管理費
- 売上高: 商品・サービスの販売による収入
営業利益は企業の本業の効率を示す数値のため、売上高営業利益率は事業運営がどれくらい効率的かを理解する材料になります。
業種ごとの営業利益率の目安
営業利益率は業種ごとの差が非常に大きいため、単純比較ではなく“同業他社との比較”が前提になります。
| 業種 | 営業利益率の傾向 | 特徴 |
|---|---|---|
| 小売業 | 1〜5%前後 | 粗利率が低く販管費が重いため営業利益率も低くなりやすい |
| 製造業 | 5〜10%前後 | 原価管理と製造効率によって幅が出る |
| IT・Webサービス | 10〜30% | 固定費中心のモデルのため利益率が高い企業が多い |
| 専門サービス業 | 15〜25% | 知識集約型のため利益率が高めになりやすい |
このように、ビジネスモデルの構造がそのまま営業利益率に表れるので、同じ特徴を持つ企業どうしで比較することが重要になるかと思います。
売上高営業利益率が示すもの
営業利益率を見ることで、企業のどんな状態が読み取れるかを整理すると次のとおりです。
- 本業で利益を生む力の強さ
- 販管費(広告費・人件費など)の使い方が適切か
- 価格競争力や付加価値の大きさ
- ビジネスモデルの持続性
粗利率が高くても、販管費が多い企業は営業利益率が低くなるため、費用構造をあわせて見ることが大切になります。
営業利益率が低下する主な理由
営業利益率が下がる背景には、いくつか代表的な要因があります。
- 販管費の増加
広告費の増加、人件費の上昇などが営業利益率に影響します。 - 値下げなどによる粗利率の低下
競争状況によって販売価格を下げざるを得ない場面があります。 - 人員増や新規事業への投資
成長のために一時的に費用がかさむことがあります。 - 原材料費の高騰
製造業・飲食業などでは影響が大きくなりやすいです。
短期的な要因なのか、構造的な変化なのかを見分けることが、正しく判断するうえで役立ちます。
営業利益率を改善するポイント
営業利益率を高める方法は、大きく分けると次の3つに整理できます。
① 粗利率を高める
- 商品・サービスの付加価値を高める
- 価格を適切に設定する(値付け戦略)
- 仕入原価を下げる努力を積み重ねる
② 販管費の使い方を見直す
- 広告費の費用対効果を高める
- 業務効率化による人件費の最適化
- 固定費を減らすための設備投資の見直し
③ 生産性を高める
- 業務プロセスの改善
- ITツールの活用による業務効率化
- 従業員のスキル向上が生産性に直結するケースも多い
これらの取り組みは短期的に効果が出るものばかりではありませんが、経営陣がこれらの課題にどのように取り組もうとしているかも、企業分析の際の判断項目の一つになります。
粗利率との組み合わせが重要
営業利益率は粗利率と密接に関係しています。粗利率が高いビジネスほど、営業利益率も高い傾向がありますが、販管費が重い企業では差が大きく開くことがあります。
そのため、次のように組み合わせて見ていくと理解しやすくなります。
- 粗利率で「商品・サービスの付加価値」を把握する
- 営業利益率で「事業全体の効率」を把握する
この2つを合わせて考えることで、企業の収益構造がよりつかみやすくなります。
おわりに
売上高営業利益率は、企業の本業がどれくらい効率よく利益を生み出しているかを知るための指標です。同業他社との比較や、複数期間の推移を確認しながら、企業の収益性を読み解いていくのがよいと思います。

